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    赤い首輪@羞恥小説に2008.4月から7月まで掲載した『視線』を全掲載しています。 最新号を読みたい方はこちらから→赤い首輪
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1


彼の仕事が早く終わりそうだというので、外で会うことになった。
外でデートするのは久しぶり。
何を着ていこうか、思いめぐらせていると、彼が耳元で囁く。
「どんなスカートでもいいけど、下着はつけないでね。もちろんストッキングもダメだよ。」
彼の出ていったドアを見送って、私は耳元まで紅くなる。
彼は私を困らせるのが好き…私が紅くなったり、青くなったりしているのを見て楽しんでる。
でも、いつも、結局、彼の言うとおりにしてしまう。
春先の気候は予断を許さない。
汗ばむ陽気の日もあれば、肌寒さに薄手のブラウスを悔やむ日もある。
でも、ここ数日はつぼみもほころぶような暖かな日が続いていた。
何を着ていこうか迷ったものの、ミニスカートをはく勇気はなく、
柔らかいオーガンジーの黒いフレアースカートと、割と身体にフィットした黒のニットを選ぶ。
別に何気ない格好だが、下着をつけていないせいで頬が桃色に染まって、
鏡の中の私はなんだかなまめかしく微笑んでいる。
待ち合わせの昼下がりのホテルのロビーは、空いているかと思えば、
意外とビジネスマンたちで混み合っている。
彼の姿はまだ、見えない。
彼が私より早く来たことはないのだけれど。
でも、私は彼を待つのが嫌いではない。
ステーションホテルにつくまでに、地下鉄に乗った。

下着をつけていないのがわかるわけはないけれど、私はずっと下を向いて紅くなっていた。
ホテルにつくと、私はロビーの柔らかい革張りのソファに座り込んだ。
目の前を行き過ぎるビジネスマンたちはみんな一瞬、私に目を留める。 
私の心臓が波打ち始める。
わかりはしない…わかるはずがない。
そう、自分に言い聞かせ、閉じた脚をもぞもぞさせる。
不意に携帯が鳴る。
彼。
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2


「もも、もうついてる?」
桃子、と書いて「とうこ」と呼ぶ私の名前を淳は「もも」と呼ぶ。
大学を卒業して親の縁故で入社した会社で、私は受付業務に配属された。
初めての訪問客にいきなり自分の名前を尋ねられて「真下とうこ、果物の桃に子供の子で、とうこです」
とご丁寧に答えてしまい、隣に座っている先輩に叱られた。
それが佐伯淳だった。
淳の会社は大手の服飾メーカーで、広告代理店である私の会社の大きなクライアントだった。
入社したてで大きな得意先である会社の人に誘われてしまった私は、プライベートなことでも断る勇気もなく、会ったその夜にデートしてしまった。
結局、私は半年あまりで退職し、淳の奥さんになった。
最初から淳のペースで始まった付き合いだけど、知れば知るほど私は淳に恋した。
付き合いはじめて、淳が今いる会社は父親が経営するものであること、ゆくゆくは彼も社長の椅子に座ることを知った。
そして淳と結婚するということは私も、社長夫人としてその業界に入ることになるということを納得させられた。
華やかな世界とは無縁な平凡な家庭で育った私は自分には「社長夫人なんてとても無理」と尻込みする気持ちが正直強かった。
結局、淳の熱意と、玉の輿だと騒ぐ周囲と、何より自分の淳に対する恋心の高まりが私を二十代前半の早い結婚へと踏み切らせた。
二十三歳の秋。七つ上の淳が三十歳の誕生日。その日が結婚式。
「人生最大のプレゼント」と抱きしめられて、幸せの絶頂を感じた。
私がまだ若いからと言うことで子供はまだ先に、と淳が言い五年。
そろそろ子供を考えてもいいのだけれど、新婚当時から変わらない甘い生活に終わりを告げるのを二人ともなんとなく先延ばしにしていた。

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少し遅れることを簡単に告げると、「じゃ、気をつけるんだよ。ももはすぐ、顔に出るから。」
そう言って切ってしまった。
どうしよう。私、下着をつけていないように見えるかしら…
だから、みんな私の顔を見るのかしら。
そう思うと、ますますいたたまれなくなってしまう。
頬が火照って、鼓動がニットの胸を上下させる。
隣に座った、四十くらいのビジネスマンの背広の腕が肩にあたる。
「失礼。」男は私をのぞき込んでにやっと笑う。
まるで、スカートの中を知っているように。
男は素知らぬ顔で新聞を読み始めたが、その腕はいまにもフレアースカートの裾をたくし上げそうな気配を漂わせている。
反対側の隣の老女が席をたつと、若いカメラマン風の男が座る。
アルミのカメラボックスを足下に置いて蓋を開けてごそごそとしだす。
彼が屈むようにするたびに頭がスカートに触れそうでどきどきする。
そのままスカートの中に潜り込まれたらどうしよう…
私は次々と頭をよぎる妄想を否定するのに全力をあげる。
相変わらず、前を通る男たちの視線が痛い。
胸元に手をおいて心臓を押さえようとして、乳首が軽く立ち始めていることに気がつく。
「淳、助けて…早く来て。」私は泣きたくなりながら、祈る。
膨らみはじめた妄想が段々、具体性をおびながら私に迫りはじめる。
右側の男が新聞を広げたまま、片腕をのばして、私の尖り始めた乳首を摘む。
「やめて!」私は叫ぼうとするのに、声が出ない。
もし、みんなが振り返って、私がニットの下で乳首を尖らせているのがわかったら…、
もし、下着をつけずにここにいるのがわかったら…
変態扱いされるのは私かもしれない。

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騒ぎ立てない私に了解を得たと思ったのか、男の指はもっと大胆になる。
乳首は更に堅く立ち、ニットの素材でもっと刺激されて感じやすくなっていく。
私の息づかいが荒くなり、胸の鼓動を押さえきれなくなってくる。
男はますます調子にのって、私の肩を抱き寄せ、両手で乳房を包むようにし、揉みはじめる。
胸に気を取られてスカートへの意識を一瞬失った隙に、反対側のカメラマンがスカートに手を潜り込ませる。
男は私が下着をつけていないことを知ると、びっくりしたように、私の顔を覗きこんだ。
そして、うっすらと、笑うと、いきなり私の一番敏感な場所に触れてくる。
小さく叫び声をあげそうになり、私が両手で口を押さえた。
「お願い、やめて!早く来て!助けて…」
抵抗しない私に二人の男はどんどんエスカレートしていく。
乳首を弄んでいる男はニットの裾をたくしあげ、そそり立った乳首を外気にさらす。
しこりきった乳首を苛めるようにつまみ上げて回転させる。
躰の奥から、とろりと溶け出すものを感じて、私は奈落に落ちて行きそうな錯覚を憶える。
指先に粘液の滴りを感じて、カメラマンは私が反応してきたことに満足そうに指を動かす。
敏感な芯を擦りあげている指先は濡れながら、花びらの奥の道を探り当て、埋没しようとしている。
一本、二本と潜り込んだ指で膣の中の感触を楽しみながら、硬くなったペニスを私の腰に押しつけるように上下させてくる。
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二人の常軌を逸した行動に、他の客たちは気がつかないのか、誰もとめようとしない。
私は、救いを求めるように周囲に目を馳せて愕然とする。
客たちは気がついてないのではない、様々な年齢の男たちが私たちを取り囲み、欲望に酔った目で私を見つめている。どうして…
ふと我にかえる。そうだ、彼に、彼に電話するの。
震える手で携帯を探し、握る。
呼び出し音がいつになく、長く続く。
男達は私の身体を貪ることに夢中になっている。
乳首を吸い、舌で転がし、剥き出しの下半身に顔を埋め、舌を使い始める。
やっと、彼の声が響く。
「もも…感じてるんだろ」彼の非情な声が響く。
そのとたん、私の脳味噌がどろどろに溶けて、喘ぎ声が堰を切ったように溢れる。
彼に、助けを求めるはずの電話は、生々しい、レイプの中継になってしまう。
下半身から愛液をしたたらせながら、私は感じ続け、脚を絡め、乳首を吸う男の頭を抱える。
「たすけて…あっ…あ…だめっ…!」

「もも。」
不意に肩に圧力を感じて私は欲情に滴った水面から顔をあげる。
彼が、笑って前に立っている。
耳にホテルの雑踏が戻ってきた。
ビジネスマンは相変わらず、新聞を読み続け、カメラマンは、機材の整理を終え、タバコに火をつける。
ホテルのロビーを行き交う人たちは忙しそうに早足ですれ違って行く。
私だけが、潤んだ瞳をし、頬を紅潮させていた。
彼が私の手を軽くとり、立ち上がらせ腰に手を添えてエレベーターに向かって歩きだす。
私の耳にいたずらっぽく囁く。
「もも、気持ちよかったんじゃない?」
彼は私が、いやらしい妄想にふけっていたのを見ていたにちがいない。
「だって…」拗ねたように、彼の肩に頭をぶつける。
「部屋でゆっくり聞かせてね。どんな風に男にされたか…」
私たちがエレベーターに乗ると妙なことにさっき両隣に座っていた二人の男が一緒に乗り込んできた。
私が驚いて、彼にしがみつくと、彼はまたも、笑って言う。
「さっきね、彼らにお願いしたんだ。僕の妻があなたたちにされたがっているんだけれど、
 抱いてやってくれませんかって…」
卒倒しそうな私を両側から抱えて、男たちはホテルの部屋に入っていく。